第六章 🌙障害とは🌙








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俺は部員の河村を、障害と呼んでいる

これは部員全員呼んでいることだし、
河村自信も障害というあだ名にプライドを持っている

そもそも障害の定義とは、
①妨げとなるもの
②心身の機能が十分に働かないこと
の2つだ

別に河村を障害と呼ぶようになったのは、なんとなくでこれといった意味はない

意味もなく障害と呼ばれることは決して悪いことではない。

なぜなら、そいつ自身を完全究極体な障害と見なしていないからだ

しかし、俺は障害によって紹介されたバイト先で、真の障害を見つけてしまったんだ

どぶ色の空の下、どぶ色の車が1台マイクの前に停車する

「ピッ、どうぞー」
ドライブスルーを承る俺

「えーと、カレーの大盛が1つ、Aセットが1つー。それから牛丼の並が2つ、豚丼の大盛が2つー」

「死ね、こちらAセットのドレッシングが和風かゴマっ」

「ゴマ」

「カレーは中辛か甘口っ」

「中辛」

「はい、前どうぞー」

俺はドライブスルーで敬語なんて使ったりはしない

そしてこの注文をハンディでうつのは、チャイニーズ

光速でカレーと丼物を容器にぶっ込み、前に出した

お客様はチャイニーズから商品を受け取り、どぶ色の車でどぶ色の空に向かって走ってゆく

なんとここで障害を発見してしまう。

打たれた伝票には
「中辛カレー並TP半熟卵、Aセット和風ドレッシング、カルビ丼大盛×2、カルビ丼並盛×2」


何も合っていない
8カ月くらいやってる

「障害は障害を呼ぶ」
このとき学んだんだ

「へい、チャイニーズ。お客様様に伝票確認してねーだろ、何も合ってねーんだよちんちん」



「あはーーい、すひませへぇーーん」

中国人だからがまんした
偏差値87の俺もさすがに呆れ返り、クレームの電話を待つことにした

電話がなる

「注文した商品と全然違うんだけどー」

心に余裕がない人はすぐクレームを入れる

ファストフード店が許されるのは独り暮らしの大学生とかだ

お客様とチャイニーズというダブルな障害に、ハサミギロチンを見事命中させられた

「はーい、時間返金って形で対応させていただきまーす、ガシャッ」

クールに対応


次の日
またチャイニーズとシフトが被っている

今日はうんこ色の空のしたうんこ色の車がマイクの前に止まった

「注文どうぞ」

「牛丼並盛とAセットの豚汁変更でお願いしまーす」

「ドレッシング和風かゴマっ」

「ゴマでお願いします」

「前どうぞっ」

客と店員の立場が逆転しているけど、違和感なんてなかった

チャイニーズが注文をうつ

一応確認してみた

伝票には「牛丼並、Aセット変更豚汁、ゴマドレッシング」
間違ってはいなかった

ただ客から会計をとる際に伝票確認をしていなかった

それを見た俺は、茶碗を握力だけで握り潰した
パリパリパリー

客がうんこ色の空に消えた後、俺はチャイニーズの正面に向かい握手をしようといった

そして握力130キロの俺の豪腕で、チャイニーズの手の骨格を全てねじ曲げた

めしっめしっ

確実に明日バイトに来れないよう骨を複雑骨折させた

俺のじいちゃんは優秀な弁護士だし、たかが留学生に負ける気はしなかった

そして次の日
チャイニーズは見事にバイトにも来ずに事件になることもなかった

ただチャイニーズは障害①妨げとなるもの②心身の機能が十分に働かないこと、の両方を十分に満たしていたんだ